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アライ(Ally)とは?多様性を尊重し、共に歩むために

Tags: アライ, 多様性, インクルージョン, LGBTQ+, 社会課題

アライ(Ally)とは何か

多様性を語る場へようこそ。ここでは、ジェンダーや多様性に関する様々なテーマについて、共に学びを深めていきたいと思います。今回は、「アライ(Ally)」という言葉に焦点を当ててみましょう。

「アライ(Ally)」とは、直訳すると「同盟者」「味方」といった意味です。ジェンダーやセクシュアリティ、人種、障害など、社会の中で不利な状況に置かれがちな特定のマイノリティ(少数派)の人々に対し、その権利や立場を理解し、積極的にサポートするノン・マイノリティ(非当事者)を指す言葉として使われることが増えています。

アライは、単に「差別をしない」という受動的な姿勢に留まりません。「不当な扱いを受けている人がいれば、それを是正するために行動する」「誰もが安心して過ごせる環境を作るために、自分にできることを探して実践する」といった、能動的で建設的な関わり方を目指します。

なぜアライの存在が重要なのか

多様性が尊重される社会を目指す上で、なぜアライの存在が重要なのでしょうか。

まず、当事者の声だけでは、社会全体の意識や構造を変えるには限界がある場合があります。ノン・マイノリティであるアライが、自身の立場や影響力を利用して当事者の声を広げたり、既存のシステムに働きかけたりすることで、より広い範囲での変化を促すことが期待できます。

また、アライがいることで、当事者は孤立感を感じにくくなります。「自分を理解し、応援してくれる人がいる」という安心感は、困難な状況に立ち向かう上で大きな支えとなります。

アライになるための具体的な行動

アライになるための行動は、特別なことばかりではありません。日常生活や職場など、様々な場面で実践できることがあります。

  1. 学ぶ姿勢を持つ: 当事者が置かれている状況、歴史、課題について、積極的に学びましょう。書籍を読んだり、信頼できる情報を集めたり、当事者の話に耳を傾けたりすることが含まれます。ただし、学びの負担を当事者に一方的に押し付けるのではなく、自分で調べる努力が大切です。
  2. 耳を傾ける: 当事者の経験や感情に、誠実に耳を傾けましょう。決めつけや推測をせず、相手の話を尊重する姿勢が重要です。
  3. 意識的に言葉を選ぶ: 無意識のうちに誰かを傷つけたり、排除したりする言葉を使っていないか、注意深く振り返ります。例えば、「普通は〇〇だ」といった決めつけや、「〇〇なのに〇〇だ」といった偏見に基づく表現を避けるように努めます。
  4. 声を上げる: 目の前で差別や偏見に基づいた言動を見聞きした場合、可能であればそれに対して建設的な方法で異議を唱えたり、誤りを指摘したりします。その場での対応が難しい場合でも、後に適切な窓口に相談するなど、何らかの行動を検討します。
  5. インクルーシブな環境を作る: 誰もが居心地良く、自分の能力を発揮できるような環境を作るために、自分にできることを考え、実践します。例えば、イベントを企画する際に多様な人が参加しやすいよう配慮したり、会議で発言しにくい人がいないか気を配ったりすることが挙げられます。
  6. 完璧を目指さない: アライの活動は、一度学べば終わりというものではありません。学び続ける過程であり、時には間違いを犯すこともあるかもしれません。大切なのは、失敗を恐れずに学び続け、より良いアライとなることを目指す姿勢です。

アライシップの多様性

アライのあり方や、当事者から望まれるサポートの形は、一人ひとり異なります。また、特定の課題に対してアライであっても、他の課題については学ぶべき立場であるということもあります。

アライは、当事者の「代弁者」や「救世主」になることではありません。当事者が自身の声で語れるよう、その声が社会に届きやすくなるよう、安全な場所で力を発揮できるよう、側面からサポートする役割です。当事者の意図やニーズを尊重し、共に考え、行動することが何よりも大切です。

まとめ

アライ(Ally)は、多様な人々が直面する困難に対し、ノン・マイノリティの立場から理解とサポートを提供し、共に多様性が尊重される社会を目指す人々です。アライになるための行動は、学ぶこと、耳を傾けること、言葉を選ぶこと、必要に応じて声を上げることなど、私たちの日常の中で実践できる様々な形があります。

完璧なアライである必要はありません。大切なのは、多様性を尊重する意識を持ち、学び続け、自分にできることから行動を始めることです。アライが増えることで、誰もが自分らしく、安心して生きられる社会の実現に一歩ずつ近づくことができるでしょう。